
滋賀県は、日本のほぼ中心に位置する場所であり、日本の回廊とも呼ばれるものでその役割を担ってきているのです。県の中央には日本最大の琵琶湖があり、琵琶湖を囲んで多くの街道が整備されています。その発展を通じて、商業活動や市場の形成を促してきたのです。
この県は、そうしたこともあって、商才に長けた人が多く排出されているのです。それを近江商人といって、東北地方にまで行商に出るほどのものだったのです。現地に住み着いたという人も少なくないとされていることに加えて、フットワークの軽さがあり、勤勉かつ実直、信仰心が厚くてストイックな面を持っています。こうした面は、今も滋賀県の県民性として生きているのです。
地域的には、大阪湾、伊勢湾、若狭湾に挟まれています。滋賀県は天気の変わり目になるところで、日本海型の気候、太平洋型の気候に分かれています。桓武天皇が平安京に遷都したとき、大津はその外港として栄えています。そこから滋賀県は歴史的にも栄えたところとなり、明治維新後には大津は行政の中心となり県庁が置かれています。滋賀県には、信楽焼きと呼ばれる特産品があり、これは日本六古窯のひとつとされています。信楽の土は耐火性に富んでおり、可塑性、腰が強いともされています。それがあり、バラエティに富んだものが開発されているのです。
そして、着物の分野としては、近江の麻というものがあります。これは、水源の豊富な滋賀県だからこそ発展したものである、近江で作られた本麻の着物です。着心地も抜群であること、夏着としても使うことができることに加えて、新しいものを取り入れつつも伝統を残して進化を続けているのです。網織紬というものもあり、こちらも滋賀県の地域ブランドです。江戸時代中期に始まったもので、長浜市で製作されている、滋賀県の伝統的な工芸品なのです。秦荘紬は、養蚕の技術を得た農民の手により作られたもので、養蚕を生業にしていた農民が作った糸のあまりを利用して作ったことが始まりとされています。