和服とは?
和服とは日本で古くから着用されている衣服のことで、「和(日本)の服」が語源となっています。昔は着物が一般的だったので和服という言葉は無かったのですが、明治時代に西洋の衣服である洋服が普及したことにより、日本の衣服と区別するために生まれました。
また、近年では和服=着物だけでなく、羽織や袴、浴衣、帯、長襦袢、足袋などを総称した呼び名となっています。
和服の着物が活用できる場所は?
礼装用のフォーマルな着物としては着られない紬ですが、ちょっとした外出用としてカジュアルなパーティーやお稽古、観劇などに着ていけます。
また、紬は絹でありながら他の着物より扱いやすいため、もし外出先で汚れが付いても水で濡らした布で軽く拭けば大丈夫です。もちろんその後クリーニングに出すことになりますが、水に弱い着物よりも慎重にならなくて済むため、お食事会にも気軽に着ていくことができます。
ですが、そういった場所にはドレスやスーツしか着ていかない人にとっては、紬の着物は扱いづらいかもしれません。
和服・着物・呉服の違いは?
現在は和服も着物も呉服も同じ意味で捉えられていますが、着物で生活していた数十年前までは明確な違いがありました。
- 和服
- 日本の衣服全般を指す言葉で、浴衣や甚平、袴を着用する際に着る半着などもまとめた総称です。
- 着物
- 今は和服も着物も同じ意味になっていますが、狭義では長襦袢の上に着る長着(丈が足首まである和服)のことを指します。
- 呉服
- 今は呉服も着物と同じ意味ですが、元来は三国志で有名な中国の「呉」という国から伝わった絹織物のことを指していました。
そして昔は正絹のみを扱う高級店を呉服屋、木綿や麻などを扱う庶民的なお店を太物屋と分けていましたが、現在は着物を着る人が少なくなったので、呉服屋でも木綿の浴衣などが売られるようになりました。
和服の種類について
和服は細かく分けると膨大な数になりますが、礼装用と普段用で簡単に分けると以下のようになります。
礼装用和服
- 黒羽二重五つ紋付
- 男性の第一礼装(正礼装)で、黒地の五つ紋付の羽織と袴の着物です。よく結婚式で新郎や父親が着ている衣装です。
- 色羽二重
- 羽織が黒地以外の着物で、黒紋付に次ぐ男性の略礼装です。
女性の色留袖と同格で、五つ紋なら正礼装、三つ紋や一つ紋なら準礼装となり、披露宴などで着用できます。
- お召一つ紋付
- 男性の外出用着物ですが、三つ紋や一つ紋を入れると格が上がり略礼装として着用できます。女性の紋付の色無地や訪問着と同格です。
- 黒留袖
- 既婚女性の第一礼装で、黒地に五つ紋と裾のみの絵羽模様が特徴です。
- 色留袖
- 黒地以外の留袖で、既婚・未婚ともに着用できます。紋の数で格が変わり、5つなら正礼装、3つや1つなら準礼装となります。
- 振袖
- 未婚女性の第一礼装で、ふくらはぎからくるぶし辺りまである長い袖と華やかな絵羽模様が特徴です。
- 喪服
- お葬式の時に着用する、五つ紋付で黒一色の着物です。
- 訪問着
- 肩から裾にかけて絵羽模様が入っている略礼装で、既婚・未婚ともに着用できます。また、一つ紋を入れると格が上がり準礼装となります。
- 付け下げ
- 訪問着より落ち着いた柄の略礼装で、着た時に模様がすべて上向きになるよう染められています。
- 色無地
- 黒以外の一色で染められた着物です。外出着ですが紋を入れれば格が上がり、略礼装となります。
- 袴
- 大学の卒業式などで着用する着物です。未婚女性なので中振袖や小振袖と合わせて着用します。
普段用和服
- 小紋
- 全体に細かい模様が施されているのが特徴で、付け下げと似ていますがこちらは柄の向きがバラバラに染められています。
- 紬
- 糸の段階で染められているのが特徴の人気ある着物です。結城紬や大島紬などの高価な品もありますが、基本的には外出着のため礼装としての着用はできません。
- 浴衣
- お風呂上がりや夏祭りなどのイベントで着用します。尚、普段着なため、フォーマル・セミフォーマルな場では着用できません。